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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
「神依様──朗報でございます。確かに今、黄泉には異質な神がお降りになっているそうです」
「えっ……本当ですか!?」
男は一匹の蜘蛛を手の甲に乗せ、語る。
「はい。その顔(かんばせ)は見目にも麗しく、濡れ羽の黒髪を靡かせ、金色(こんじき)の瞳にてこの黄泉の闇を見透(とお)していたと」
「……日嗣様……」
その待ち望んでいたはずの報せに、神依は半ば放心したようにその名を呟く。ずっと遠くにあって追い求めていたもののはずなのに、いざ手の届くところまで来ると少し怖くなる。実感が伴わないことへの不安だったが、神依はそれを振り払うかのように数回頭を振ると、改めて男を見上げた。
「それで……その人は、どこに」
「すぐ近くにまでいらしているようです。……ただ……」
「ただ?」
「……同じ姿をした神が、二柱いると。そしていずれも、何かを……或いは誰かを、探し求めているようだったと」
「二……柱……?」
神依は詰め寄るようにしていた身を退き、瞬きもせず男を見上げる。
(日嗣様が……二人?)
あまりに突拍子もない言葉に、思考が固まる。ただその代わりに、その塊を風のようにすり抜ける何かがあったことにも、神依は気付いていた。
「えっ……本当ですか!?」
男は一匹の蜘蛛を手の甲に乗せ、語る。
「はい。その顔(かんばせ)は見目にも麗しく、濡れ羽の黒髪を靡かせ、金色(こんじき)の瞳にてこの黄泉の闇を見透(とお)していたと」
「……日嗣様……」
その待ち望んでいたはずの報せに、神依は半ば放心したようにその名を呟く。ずっと遠くにあって追い求めていたもののはずなのに、いざ手の届くところまで来ると少し怖くなる。実感が伴わないことへの不安だったが、神依はそれを振り払うかのように数回頭を振ると、改めて男を見上げた。
「それで……その人は、どこに」
「すぐ近くにまでいらしているようです。……ただ……」
「ただ?」
「……同じ姿をした神が、二柱いると。そしていずれも、何かを……或いは誰かを、探し求めているようだったと」
「二……柱……?」
神依は詰め寄るようにしていた身を退き、瞬きもせず男を見上げる。
(日嗣様が……二人?)
あまりに突拍子もない言葉に、思考が固まる。ただその代わりに、その塊を風のようにすり抜ける何かがあったことにも、神依は気付いていた。

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