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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
「いいえ。やはり我らが神にはその淀み無き恋情こそ。……それでは、某(なにがし)かが戻るまでどうぞ今一度のお休みを。その間に、女達には湯や衣の支度をさせましょう」
「あっ……ありがとう」
湯という言葉に神依が目を輝かせて謝せば、残った者達も柔らかく笑みを返す。
 やがてどこから持ち込まれたのか、神依は用意された湯桶に浸からせてもらい、禊にされるように甲斐甲斐しく世話を受けた。老婆達には未だに消えぬ痣や火傷の跡を労られ、自分の手では届かなかった場所まで薬を伸ばしてもらう。ただ初日に痛めていた踵(かかと)は、今は癒えて皮膚が固くなっていた。
 その間に女達は衣を清め、乾くまでの時を神依はその場所で過ごした。衝立や火鉢が持ち込まれ、することが無くなれば娘達からお喋りを持ち掛けられる。淡島の話もしたし、黄泉国の話も聞いた。恋の話に積極的なのは、時も場所も変わらない。日嗣とのことも聞かれたが、彼女達一族の遺恨を、男が語ったこと以上に神依が聞かされることは無かった。
 その頃には子龍も男達に慣れていたが、散った蜘蛛達が戻ってくるのにそうは時間もかからなかった。蜘蛛達は各々黄泉を周り、神依が望んだ情報を集めてくれていた。
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