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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
その言葉の後半、わずかに変化した男の声音に、神依もまたあることに気付き口を開きかける。神依の中に訪れた変化を男も感じ取ったようだったが、それ以上を踏み込んでくることも無かった。
だから神依もまたそれ以上を問うことを辞め、願いの形を取って男に命じる。
「人を──捜しているんです。男の人……神様を」
「……」
「誰か、見掛けた人はいませんか? 大切な人なんです。私はその人を見つけ出して、二人で在るべき場所に帰りたい……捜したいんです」
「……かしこまりました。お待ちを」
男はしばらくの沈黙の後、目配せで背後の蜘蛛達に指示を送る。すると蜘蛛達は既に承知していたように、さあっと四方八方へと散った。
そして男の周りに残った数匹の蜘蛛が男と同じように人の姿に転じ、やはり男と同じように膝を着く。若い女から、その母や祖母ほどの齢の者まで──
「神依様──貴女様を我が一族にお迎えできませぬことは残念ではありますが、それが御下知とあらば、一族総出で必ずや果たしてご覧に入れましょう」
「ん……、その……本当に、ごめんなさい……。……私は確かに、あなた達が慕う神様を知っているんだと思います。なのに……私は私以上のものにはなれない。……ここには居られないんです」
だから神依もまたそれ以上を問うことを辞め、願いの形を取って男に命じる。
「人を──捜しているんです。男の人……神様を」
「……」
「誰か、見掛けた人はいませんか? 大切な人なんです。私はその人を見つけ出して、二人で在るべき場所に帰りたい……捜したいんです」
「……かしこまりました。お待ちを」
男はしばらくの沈黙の後、目配せで背後の蜘蛛達に指示を送る。すると蜘蛛達は既に承知していたように、さあっと四方八方へと散った。
そして男の周りに残った数匹の蜘蛛が男と同じように人の姿に転じ、やはり男と同じように膝を着く。若い女から、その母や祖母ほどの齢の者まで──
「神依様──貴女様を我が一族にお迎えできませぬことは残念ではありますが、それが御下知とあらば、一族総出で必ずや果たしてご覧に入れましょう」
「ん……、その……本当に、ごめんなさい……。……私は確かに、あなた達が慕う神様を知っているんだと思います。なのに……私は私以上のものにはなれない。……ここには居られないんです」

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