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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
「待って……じゃああなた達は……神様、だった?」
何が起きているのかいまいち理解が及ばぬまま、神依がおそるおそる訊ねれば、男は思いも寄らない言葉を口にした。
「……今となっては、頷くことも憚られる有り様ではありますが……神代も人世も、我らはかつて豊葦原にて、貴女様の頬に刻まれし天の一族の末裔(すえ)とその手の者に国を逐われ、禍津霊、禍津神として位や名を貶められた者達です」
「え……っ」
「そして後世ではご覧の通り、穴ぐらに潜り地を這いずる鬼や妖として人々に顕され、そう信じられて参りました。……しかしその名と認識が残ればこそ、今はこの根底の国に存在を許される。……皮肉なものです」
「……」
知らず知らず、神依の瞳が男の角を、指先が自身の頬をなぞる。
 ここに刻まれているのは月読の朱印だが、豊葦原を統べるために天降ったのは日嗣だった。その末というなら、あの花の女神との間にできた子達……或いはその子孫と対峙し、敗れた者達なのだろうか。
 (……なら、私は……)
複雑な面持ちで目を伏せる神依に、男は浮かべた笑みを消すことはなかったが……どこか憂いを帯びた眼差しでそんな神依を見つめ、他人から与えられた蔑称を名乗った。
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