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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
あの声に呼ばれる名前が好きだった。変えたくなんてなかった。そして父が語ってくれた通り、想い人はまだその名を呼んで、求めてくれている。ただただ、嬉しかった。
(……まだちゃんと、繋がってる。大丈夫……絶対、会えるから)
それだけを強く思って、神依の意識は夢の水底に沈んでいく。
(……今日は、やっぱりゆっくり眠れそう)
単純、と微かに笑み枕に顔を埋(うず)めれば、何故か頭に海の中の景色が思い浮かんだ。水面にはきらきらと太陽の光が反射していて、一度鈴の音が鳴った気がした。
深く、御霊を震わす音。
神依にはそれが何か分からなかったが、体も心も何かあたたかいものに満たされたまま、意識を完全に手離した。
【4】
雨は神依が眠った後も降り続き、外界の空気を洗って砂塵を地に縫い留めていった。
ささめく雨音、弾ける玉水。ただそれらが雑音の範疇に入らないのは、生けるもの全ての肉の内側に同じものを流しているからだろうか。そんな水が生み出す無意識の中で、神依は長い時を過ごしていた。
「……し。……もし」
「……キュイッ!?」
ふとそこに雑音が混ざる。
不意に穏やかな静寂を揺るがされ、先に目覚めたのは神依ではなく子龍の方だった。
(……まだちゃんと、繋がってる。大丈夫……絶対、会えるから)
それだけを強く思って、神依の意識は夢の水底に沈んでいく。
(……今日は、やっぱりゆっくり眠れそう)
単純、と微かに笑み枕に顔を埋(うず)めれば、何故か頭に海の中の景色が思い浮かんだ。水面にはきらきらと太陽の光が反射していて、一度鈴の音が鳴った気がした。
深く、御霊を震わす音。
神依にはそれが何か分からなかったが、体も心も何かあたたかいものに満たされたまま、意識を完全に手離した。
【4】
雨は神依が眠った後も降り続き、外界の空気を洗って砂塵を地に縫い留めていった。
ささめく雨音、弾ける玉水。ただそれらが雑音の範疇に入らないのは、生けるもの全ての肉の内側に同じものを流しているからだろうか。そんな水が生み出す無意識の中で、神依は長い時を過ごしていた。
「……し。……もし」
「……キュイッ!?」
ふとそこに雑音が混ざる。
不意に穏やかな静寂を揺るがされ、先に目覚めたのは神依ではなく子龍の方だった。

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