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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります

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 そうして神依が寝床に選んだのは比較的沼側に近い、この世界の中でもまだ背の低い建物だった。それでも淡島では、朱の楼閣以外でお目にかかったことのない高さ。
 中は棚が所狭しと並べられいくつかの物が陳列されていたが、ほとんど空っぽだった。その品の中には神依にも読める字で書かれたものもそうでないものもあったが、先程の不快感を思い出すのが嫌で避けた。
 なのに何故ここを選んだかと言えば、一つは窓が無かったことと、もう一つは階段を上がったところでたくさんの寝台が打ち捨てられているのを見付けたからだ。しかも布団はふわふわで、神依は子龍と一緒になってあちこちぴょんぴょん飛び跳ねたり、寝台同士を端から端までくっ付けてごろごろ転がって遊んでいた。
 毛布を被ってみれば、外の鋭利な世界が嘘のように柔らかい。
「──すごい、こんなに軽いのにこんなにあったかい。中には何が入ってるんだろう」
だからといってこれほど気持ちのいいものを裂く気にもならず、何枚も折り重ねてそこに飛び込んだり潜り込んでは感触を楽しむ。
 これまでは木の葉を集めたり藁に潜り込んだり、荷を枕に外套にくるまって眠る時もあった。
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