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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
それらが朽ちかけのまま放置されて、上から風化したり下から崩れたりして斜めに傾いている。
 そのせいでどれもこれも、金属の支柱や板、用途も分からぬ線の束が剥き出しになり、まるで生皮を剥がれて燻製にされた生き物のように見える。
 道もあちこちひび割れたり崩落していたが、そうでなければとにかく平らに石が敷かれており、固い。その上には玻璃が粉々になって散乱しており、神依には何だかひどく痛々しい世界に思えた。
 (……こんな大きな石、どこから切り出してきたんだろう)
童が扱う石の話もたくさん聞いていたが、こんなにも巨きな建物や長い道が一枚岩で一律に造れるものなのだろうか。しかも建物は上から下まで均等に窓がくり貫かれ、整然としている。一片の狂いもない──。
 ──だとしたら、それこそ神の御技ではないのか。一群(ひとむら)の緑もない、無機質な色、無機質な形。洗練という名の淘汰を、究極的に果たした世界。
 「……」
神依は手の中にあるだけの緑をぎゅっと握りしめ近くにあった瓦礫の山に触れてみるが、やはり固くて、冷たかった。
「……っ」
そして何故かその瞬間、恐ろしく不安になる。
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