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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
雨の日の神楽殿と、帰り道。それは思い返せばとても居心地のいい、あたたかな時間だった。
(あの時はお互いにまだぎこちなくて、全然上手く話せなかったけど……)
それでも……初めて。男はその心の一端を、自分に触れさせてくれた。
それから一緒の傘に入れてもらって。日嗣は自らの肩を塗らしながらも傘をこちらに寄せてくれたし、その時間を知らないところで作ってくれたもう一人の男も、最後は自分の心が凍えないよう胸に抱(いだ)いてくれた。どちらも優しい雨が滴っていた、思い出の中の淡島。
「……そういえば、あの時もあなたが一緒だったね」
「?」
何の脈絡もなく語り掛けられた子龍はきょとんとして目をぱちくりさせる。神依もまた、自分が一人で思考を飛ばしていたことに気付いて苦笑した。それでも頬の筋肉を動かすことは内面にも影響してくるようで、少し気持ちが切り替わった神依は今度はにっこりと子龍に笑う。
「──ううん、なんでもない。弱気になったらダメだよね。日嗣様にだってきっと、高天原や淡島で待ってる人達がいる。今度は私が日嗣様を迎えに行くくらいの気持ちで進まなきゃ」
「キュッ」
「三人で帰れたらまたどこか遊びに行こっか。秘密のお社にも。……あ、でもそしたら猿彦さんが一緒かな。……あれ?」
(あの時はお互いにまだぎこちなくて、全然上手く話せなかったけど……)
それでも……初めて。男はその心の一端を、自分に触れさせてくれた。
それから一緒の傘に入れてもらって。日嗣は自らの肩を塗らしながらも傘をこちらに寄せてくれたし、その時間を知らないところで作ってくれたもう一人の男も、最後は自分の心が凍えないよう胸に抱(いだ)いてくれた。どちらも優しい雨が滴っていた、思い出の中の淡島。
「……そういえば、あの時もあなたが一緒だったね」
「?」
何の脈絡もなく語り掛けられた子龍はきょとんとして目をぱちくりさせる。神依もまた、自分が一人で思考を飛ばしていたことに気付いて苦笑した。それでも頬の筋肉を動かすことは内面にも影響してくるようで、少し気持ちが切り替わった神依は今度はにっこりと子龍に笑う。
「──ううん、なんでもない。弱気になったらダメだよね。日嗣様にだってきっと、高天原や淡島で待ってる人達がいる。今度は私が日嗣様を迎えに行くくらいの気持ちで進まなきゃ」
「キュッ」
「三人で帰れたらまたどこか遊びに行こっか。秘密のお社にも。……あ、でもそしたら猿彦さんが一緒かな。……あれ?」

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