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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
一方子龍は蓮の傘が気に入ったようで、ぽつぽつと鳴る音にも嬉しそうな反応を見せてくれる。
「葉っぱの傘なんて、面白いね。あの神様には感謝しなきゃ」
神依もまたそれを楽しみながら子龍に話しかければ、子龍は甘えるような声を出してまた傘を見上げた。
とはいえ神依は、疲労のせいもあって今日はもう先に進む気も失せている。雨宿りの場をそのまま寝床にすることを早々に決めて、慎重に辺りを見回しながら進んだ。
左右は相変わらず蓮の生い茂る沼が続いていたが、時折対岸の森や丘陵が影となって霧に浮かび上がる。だが、その中に建物らしきものは見当たらなかった。贅沢は言えないが、このまま雨が続くならしっかりとした屋根と床がある方がいい。
気温もいつもより下がっているし、足元から頭まで寒気が一気に駆け登ってぶるっと体が震えた。息も白い。
神依は胸元で外套を寄せ、その冷めざめとした痺れを癒すように鼠軼の珠を手のひらで包んだ。
寒さは何故か、満たされない心を強く意識させる。夏の盛りに目にする空蝉(うつせみ)のような、やり場のない不安と孤独感を思い出させる。
(……日嗣様……。あの時みたいに、日嗣様が迎えに来てくれたらいいのに……)
「葉っぱの傘なんて、面白いね。あの神様には感謝しなきゃ」
神依もまたそれを楽しみながら子龍に話しかければ、子龍は甘えるような声を出してまた傘を見上げた。
とはいえ神依は、疲労のせいもあって今日はもう先に進む気も失せている。雨宿りの場をそのまま寝床にすることを早々に決めて、慎重に辺りを見回しながら進んだ。
左右は相変わらず蓮の生い茂る沼が続いていたが、時折対岸の森や丘陵が影となって霧に浮かび上がる。だが、その中に建物らしきものは見当たらなかった。贅沢は言えないが、このまま雨が続くならしっかりとした屋根と床がある方がいい。
気温もいつもより下がっているし、足元から頭まで寒気が一気に駆け登ってぶるっと体が震えた。息も白い。
神依は胸元で外套を寄せ、その冷めざめとした痺れを癒すように鼠軼の珠を手のひらで包んだ。
寒さは何故か、満たされない心を強く意識させる。夏の盛りに目にする空蝉(うつせみ)のような、やり場のない不安と孤独感を思い出させる。
(……日嗣様……。あの時みたいに、日嗣様が迎えに来てくれたらいいのに……)

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