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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
 (もしかしたら、神様がいるのかもしれない)
こんな暗闇の世界ではあるけれども──。
 それに思い至った神依は畏れと共に伸ばした手を引っ込め、一歩を下がると姿勢を整える。それから丁寧に頭を下げ、手を打ち、合わせ、目を閉じた。
(……雨避けに、葉を一ついただけないでしょうか)
心の中で、名も知らない神に自らが異界──淡島の巫女であることを告げ、それを乞う。
 そして数秒……静寂の中ふと裳裾がくすぐられた気配がして目を開けば、一番手前の葉がこちらに差し出されるようにしなっており、その上には子龍が乗っていた。
 「これを下さるって?」
「キィ」
再び神依が手を伸ばせば、子龍はその腕を伝って背嚢の方に回り込む。その間に神依が茎を断てば、子龍は背嚢に潜り込んで水晶が詰まった袋を漁り、残っている石の中でも一番大きな、まん丸の石を選んで神依の腕に戻ってきた。
「あ、そっか。お礼もしなきゃね」
神依はそれを受け取り、先程切った茎の断面に近付ける。神依は単純に蓮根のきんぴらを思い浮かべていたが、茎も同じようにいくつか穴が空いており、おかげか、水晶は真ん中の穴にちょこんと上手に嵌まってくれた。
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