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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
その時たまたま目の前を横切った光を目で追ってみるが、それでも正体は定まらず、ただなんとなく黄泉国にも生き物がいるのだと改めて認識した。
 すると不意に、子龍が肩からぴょんと飛び降り、目の前の葉っぱの上へと乗り移る。
「どうしたの?」
子龍に促されるまま光を当ててみると、その葉には大きな雫が楕円形のままぷるんと残っていた。そして子龍が神依の元へ戻るのと同時に、反動で流れ落ちる。
「この葉っぱ、水を弾くんだ」
「キュッ」
それで神依は子龍が何をしたいのか理解して、自分の手の届く範囲で一番長く、一番大きな葉を探す。
 それは少し歩いたところで程なく見つかって、神依は急ぎ小刀を取り出したのだが、そのまま茎を断つのも悪い気がしてふと思い留まった。
 株の違いか、神依が見定めた葉のある一帯は他とは明らかに異なる。手の届かない中心部の方は自分の背丈よりも大きく、きっと長い年月をここで過ごしたのだろう葉と花が群れ──その花を散らした後の花托(かたく)が、まるでこちらを見ているかのように道側に張り出していた。
 蜂の巣のような、植物の胎(はら)。その巣穴の一つ一つに既に実が詰まっており、虫の複眼のような様となって……こちらを見ている。
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