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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
 その場にしゃがめば、細く薄い水筋が幾つも流れ地表を浸食しているのが見えた。どこかで水が湧き出ているのだろうか。鼠軼の珠の光を反射して、表面がきらきらと光っている。
 地は水にさらされて長いのか、進貢の広場で目にしていたような水生の植物や、水辺を好む苔が生え揃っていた。
 「──あ……」
そこへぽつりと、雨が一粒。天を仰いでも暗闇が広がるばかりで程度は分からなかったが、頬の上でも雫が弾けて神依は慌てて立ち上がった。
(どこか雨宿りできるところ……)
旅慣れていない自分でも、雨で体を冷やすのは良くないことのような気がする。辺りを見回すが建物らしきものは無く、そこは確かに今まで歩んできた場所とも異なる湿地帯だった。
 緩くなっていそうな地面や水溜まりを避けて何度も足元を確かめながら進めば、蓮(ハス)が群生する大きな沼地が目の前に現れる。沼から伸びるのは、神依の顔よりも遥かに大きい葉と桃色の花。その間を虫なのか何か違うものなのか……小さな光の綿毛がふわふわと漂って、辺りの闇に光色を滲ませていた。
「……綺麗」
神依はそれに引き寄せられるように足を止め、ぽうっとした眼差しで辺りを眺める。
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