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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
神依は膝の上に置いた包みに米粒が残っているのに気付き、包みを持ち上げると接吻するようにそれをついばむ。
不器用で優しい、稲穂の神様。お米が甘くて柔らかいのは、その神様のおかげでもあるのかもしれなかった。
「──大丈夫だよね。お父さんもお母さんも言ってたもん。私は私の、在るべき場所のことだけを想って行けって。だから早く、日嗣様を捜して一緒に帰らなきゃ。……そしたら私、今度はお裁縫もお料理もしてあげられる。まだあんまり上手じゃないけど、ちょっとだけだけど……もしまたあの家に来てくれた時、私が作ったご飯があったらびっくりするかな。日嗣様は……何が好きかな……」
「?」
大きな水晶の粒を飲み込んだ子龍は、ふと消えてしまった声に小首を傾げ神依を見上げる。
「私……日嗣様の好きなものも知らない……」
夢の中まで焦がれた男が好きだった食べ物すら知らず、自分は何をしていたんだろうと、神依の目にじんわりと涙が浮かぶ。そんなことすら知らされないまま離ればなれになってしまって、その無情さと薄情さに、やりきれない感情が胸一杯に溢れてしまった。
「……日嗣様に、会いたいね」
「キュゥ」
ふと子龍がこちらを見上げているのに気付き、指先で頬をくすぐってやれば子龍は気持ちよさそうに目を細める。
不器用で優しい、稲穂の神様。お米が甘くて柔らかいのは、その神様のおかげでもあるのかもしれなかった。
「──大丈夫だよね。お父さんもお母さんも言ってたもん。私は私の、在るべき場所のことだけを想って行けって。だから早く、日嗣様を捜して一緒に帰らなきゃ。……そしたら私、今度はお裁縫もお料理もしてあげられる。まだあんまり上手じゃないけど、ちょっとだけだけど……もしまたあの家に来てくれた時、私が作ったご飯があったらびっくりするかな。日嗣様は……何が好きかな……」
「?」
大きな水晶の粒を飲み込んだ子龍は、ふと消えてしまった声に小首を傾げ神依を見上げる。
「私……日嗣様の好きなものも知らない……」
夢の中まで焦がれた男が好きだった食べ物すら知らず、自分は何をしていたんだろうと、神依の目にじんわりと涙が浮かぶ。そんなことすら知らされないまま離ればなれになってしまって、その無情さと薄情さに、やりきれない感情が胸一杯に溢れてしまった。
「……日嗣様に、会いたいね」
「キュゥ」
ふと子龍がこちらを見上げているのに気付き、指先で頬をくすぐってやれば子龍は気持ちよさそうに目を細める。

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