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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
水はすぐに泥が混じり汚くなってしまったが、もう足もすくんで動けない。目の届く範囲でもう一度水を探すが見付けられなくて、必死で泥に手を突っ込んで汚水が溜まるのを待った。
──焼かれて死ぬのは本当に苦しいのだ。本当に痛いのだ。人が享受できるあらゆる苦痛を凌駕して命がひしゃげていく。その痛みに意識が無くなるまで悶え苦しんで、そして、その後に待っているのは──
「……女神」
『ひっ……』
不意に頭上から降ってきた男の声に、少女は弾かれたように体を震わせそちらを見上げる。
……炎に浮かぶ、黒い影。逆光にもあの美しい色をした瞳が見えて、先程まで捕らえていた男だと分かる。ほんの少し前まで手遊びで悪戯をして、からかっていたはずの男。
だが男は口元を拭うような仕草のまま、もう片方の手には再び剣を握ってそこに佇んでいた。
男の腰にはあの恐ろしい炎を産み出した何かが白い光を放ったままぶら下がっていて、いっそう空気が熱くなった気がする。
けれども男はそれを感じていないのか、それどころか同じように一度炎にまかれたはずなのに、その衣にも肌にも焦げた跡を見つけることができなかった。ただ自分が雷で焼き千切ってしまった場所だけが、ぼろ切れのようにみすぼらしい。
──焼かれて死ぬのは本当に苦しいのだ。本当に痛いのだ。人が享受できるあらゆる苦痛を凌駕して命がひしゃげていく。その痛みに意識が無くなるまで悶え苦しんで、そして、その後に待っているのは──
「……女神」
『ひっ……』
不意に頭上から降ってきた男の声に、少女は弾かれたように体を震わせそちらを見上げる。
……炎に浮かぶ、黒い影。逆光にもあの美しい色をした瞳が見えて、先程まで捕らえていた男だと分かる。ほんの少し前まで手遊びで悪戯をして、からかっていたはずの男。
だが男は口元を拭うような仕草のまま、もう片方の手には再び剣を握ってそこに佇んでいた。
男の腰にはあの恐ろしい炎を産み出した何かが白い光を放ったままぶら下がっていて、いっそう空気が熱くなった気がする。
けれども男はそれを感じていないのか、それどころか同じように一度炎にまかれたはずなのに、その衣にも肌にも焦げた跡を見つけることができなかった。ただ自分が雷で焼き千切ってしまった場所だけが、ぼろ切れのようにみすぼらしい。

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