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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
視覚と聴覚をじりじりと犯され、しかしそれがふと止まった瞬間、日嗣はあることに気付いた。
──黄泉の水気が混ざった指。あれをもう一度、口に挿し込まれたら──
『うふふ、気付いた? ……あなたのくれるお水は、とっても美味しいから……お返しに、私もたくさん舐め取らせてあげる』
日嗣の様子が変わったことに気付いた女神は、最後に口内に溜まっていた唾液を蜜のように垂らすと、日嗣に寄り添うように体を預けた。
「やめ──」
それを飲み込まされたら、二度と淡島には帰れない。万が一神依と会えたとて、それこそ──この原初の男神と女神のように引き離されて、異なる世界で異なる生を生かされることになる。そしてその生が幸せなものでないことは、明白だった。
日嗣は何とかそれから逃れようと暴れるが、未だ強い粘着力を保つ蜘蛛の糸を振り払うこともできない。最後にできる抵抗は唇を固く結ぶことだけ──だがそれを嘲笑うように女の細い指先が伸びてきて、濡れた指の腹でつうっとその縁をなぞられる。
──だめ……!!
「──っ!」
『……え?』
そして目の前の女と同じ声、けれども遥かに聞き覚えのある声が日嗣の耳元に届いたのは、その直後だった。
──黄泉の水気が混ざった指。あれをもう一度、口に挿し込まれたら──
『うふふ、気付いた? ……あなたのくれるお水は、とっても美味しいから……お返しに、私もたくさん舐め取らせてあげる』
日嗣の様子が変わったことに気付いた女神は、最後に口内に溜まっていた唾液を蜜のように垂らすと、日嗣に寄り添うように体を預けた。
「やめ──」
それを飲み込まされたら、二度と淡島には帰れない。万が一神依と会えたとて、それこそ──この原初の男神と女神のように引き離されて、異なる世界で異なる生を生かされることになる。そしてその生が幸せなものでないことは、明白だった。
日嗣は何とかそれから逃れようと暴れるが、未だ強い粘着力を保つ蜘蛛の糸を振り払うこともできない。最後にできる抵抗は唇を固く結ぶことだけ──だがそれを嘲笑うように女の細い指先が伸びてきて、濡れた指の腹でつうっとその縁をなぞられる。
──だめ……!!
「──っ!」
『……え?』
そして目の前の女と同じ声、けれども遥かに聞き覚えのある声が日嗣の耳元に届いたのは、その直後だった。

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