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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
偽物の少女はくすくす笑いながら両手を掲げ、まるであや取りでもするように、日嗣に纏わる何本かの糸を抜く。それだけで日嗣の体はするりと少女の目線の高さにまで下ろされた。
そのまま少女はじっと日嗣の顔を覗き込み、指先を袖に隠すとその袖で日嗣の顔を数回拭う。その仕草は親が子にするように優しいものだったが、日嗣には酷く屈辱的なものに思えた。ついでに、こんなざまで未だにそう思える自分にも意外性を感じた。
少女は洞を仰ぐと、こちらは始めと同じように、何をも恐れてはいない口調で愉しそうに語る。
『またここも造り直さなきゃ。……今度はあなたが住み易いように、御殿の形にしましょうか。そしてもう一度、人の形で愛し合いましょう。毎日甘い果実をむいてあげる、美味しいお酒を汲んできてあげる。その味に馴染む頃にはあなたもきっと黄泉の神としての形を手に入れて、つまらない理性もしがらみも、全てを忘れてしまえているわ』
「……やめろ」
そうして肩や首に腕をまとわりつかせてくる女に、日嗣はその瞳に拒絶の意思を宿し身をよじる。けれども女は更に片足を絡ませ、どこか恍惚とした貌(かお)で殊更それを喜ぶように続けた。
そのまま少女はじっと日嗣の顔を覗き込み、指先を袖に隠すとその袖で日嗣の顔を数回拭う。その仕草は親が子にするように優しいものだったが、日嗣には酷く屈辱的なものに思えた。ついでに、こんなざまで未だにそう思える自分にも意外性を感じた。
少女は洞を仰ぐと、こちらは始めと同じように、何をも恐れてはいない口調で愉しそうに語る。
『またここも造り直さなきゃ。……今度はあなたが住み易いように、御殿の形にしましょうか。そしてもう一度、人の形で愛し合いましょう。毎日甘い果実をむいてあげる、美味しいお酒を汲んできてあげる。その味に馴染む頃にはあなたもきっと黄泉の神としての形を手に入れて、つまらない理性もしがらみも、全てを忘れてしまえているわ』
「……やめろ」
そうして肩や首に腕をまとわりつかせてくる女に、日嗣はその瞳に拒絶の意思を宿し身をよじる。けれども女は更に片足を絡ませ、どこか恍惚とした貌(かお)で殊更それを喜ぶように続けた。

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