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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
『お互いにお互いだけを貪り合って、それを神の寿命が尽きるまで延々繰り返して──あなたがやっと私に許された時、どんな姿になっていたとしても、未来永劫、この大きな腕(かいな)に抱いて、愛して差し上げますから──』
言うなり、蜘蛛の前脚が両側から空気を裂いて日嗣に襲いかかる。鋸刃のような、鋭い突起物を生やした巨大な骨。日嗣は間際に宙を蹴り更に上へとそれを避けるが、それを追うように二筋の稲妻が走る。鼓膜を突き破らんばかりの轟音と振動、それはあたかも、人が神罰のように畏れる槍の如き一閃の雷(いかずち)だった。
髪の一房と引き換えにそれらをかわし、日嗣は顔をしかめる。焦げた嫌な臭いがする。随分と話と違う扱いのような気もしたが、もしかしたら彼女に取って、肉体の死などとうに超越したものなのかもしれなかった。
自身の魂が糸玉とあの骨の脚にくるくると絡め取られている様が自然と思い浮かんで、心の臓がぞくりと一度震える。それはいずれにしても凄まじい「執着」で、女の狂気じみた愛情にも、熟れ過ぎて腐った母性のようにも感じられた。
玉衣が纏っていた穢れと同じ……誰もが美しいと讃える女の姿と、おぞましい異形の姿を混ぜたもの。
言うなり、蜘蛛の前脚が両側から空気を裂いて日嗣に襲いかかる。鋸刃のような、鋭い突起物を生やした巨大な骨。日嗣は間際に宙を蹴り更に上へとそれを避けるが、それを追うように二筋の稲妻が走る。鼓膜を突き破らんばかりの轟音と振動、それはあたかも、人が神罰のように畏れる槍の如き一閃の雷(いかずち)だった。
髪の一房と引き換えにそれらをかわし、日嗣は顔をしかめる。焦げた嫌な臭いがする。随分と話と違う扱いのような気もしたが、もしかしたら彼女に取って、肉体の死などとうに超越したものなのかもしれなかった。
自身の魂が糸玉とあの骨の脚にくるくると絡め取られている様が自然と思い浮かんで、心の臓がぞくりと一度震える。それはいずれにしても凄まじい「執着」で、女の狂気じみた愛情にも、熟れ過ぎて腐った母性のようにも感じられた。
玉衣が纏っていた穢れと同じ……誰もが美しいと讃える女の姿と、おぞましい異形の姿を混ぜたもの。

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