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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
日嗣の周りにも悪臭と瘴気が黒い靄となって立ち込め、しかしそれから持ち主を護るように勾玉と鏡がほのかな光を宿す。各々が清き宝はそれらを決して自らに近付けぬよう、神器としての力を発動させていた。
けれどもそれさえ呑み込まんと、尽き掛けた蝋燭の炎のように黄昏が揺れて一層闇が深くなる。女神が宿す雷神の、瞬きの稲光が最も明るく、この空間に巨大な異形の影を映し出していた。
その影は日嗣の前で一度、動きを確かめるように脚を蠢かす。カシャカシャと軽い、妙に小気味いい音。それからすぐに、到底生き物とは思えない動きを見せた。
自らあらぬ方へと関節を曲げ、空に向けていた先端を地に突き刺し──その形を本物の蜘蛛のものにすると、苗床となっていた少女を持ち上げる。
少女はもう少女の形をしておらず、頭と胸があっただろう部分は蟲に包まれ達磨のような形になっていた。下半身を包んでいた蟲は妊婦の腹のようにぼこりと巨きく膨張して蜘蛛の胴を形作り、頭だった部分に横に裂けた口が開く。そこには人ならば一咬みで潰れてしまいそうな顎門(あぎと)と食肢が形成されていた。
けれどもそれさえ呑み込まんと、尽き掛けた蝋燭の炎のように黄昏が揺れて一層闇が深くなる。女神が宿す雷神の、瞬きの稲光が最も明るく、この空間に巨大な異形の影を映し出していた。
その影は日嗣の前で一度、動きを確かめるように脚を蠢かす。カシャカシャと軽い、妙に小気味いい音。それからすぐに、到底生き物とは思えない動きを見せた。
自らあらぬ方へと関節を曲げ、空に向けていた先端を地に突き刺し──その形を本物の蜘蛛のものにすると、苗床となっていた少女を持ち上げる。
少女はもう少女の形をしておらず、頭と胸があっただろう部分は蟲に包まれ達磨のような形になっていた。下半身を包んでいた蟲は妊婦の腹のようにぼこりと巨きく膨張して蜘蛛の胴を形作り、頭だった部分に横に裂けた口が開く。そこには人ならば一咬みで潰れてしまいそうな顎門(あぎと)と食肢が形成されていた。

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