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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
また自ら露出した肌も急速に水気を失いひび割れて、そこからぐずぐずとした黒い挽き肉のようなものが這い出してきている。
 ──蟲(むし)だった。死の穢れがその形を取ったものと、本当に腐肉を喰らう虫が混ざったもの。
 少女の体からは何かを撹拌するような音がごろごろと轟(とどろ)き、突然背後から突き飛ばされたように地に伏すと、その背を突き破ってみちみちと、赤黒い肉片や筋をこびりつかせた巨大な骨が伸び始めた。
 髄が剥き出しになったもの、途中で折れて氷柱のように鋭利な形を作るもの──それらが八本、縦に組み連なって、天を貫かんばかりの大きさにまで膨れ上がる。
 それは、鳥の翼をむしって肉を削いだもののようにも見えたし、逆さまになった蜘蛛の脚のようにも見えた。
 一本一本が最初に見た、豊葦原に生えていた鉄の塔のように鋭く、またそれらを結んでいた黒い線のように、穢れが糸を引いて地に垂れていく。その少女を苗床にした八本の脚には各々に稲妻が閃き、それと同じ数の雷神が肉腫となって死の女神と同化していた。
 磔にされ死んだような形のもの、母の背にしがみついた赤子のような形のもの……人の形をしている訳ではないのに、瞳と脳が自然にその形を作り出してしまう。
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