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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
更にそれに呼応するように一度、爆音と共に洞全体が大きく縦に揺れて、黄昏が震える。
「……ッ!?」
日嗣は一瞬、何が起きたか分からなかった。
ただ唐突に足元から伝わってきた地の揺れと、眼前の少女から溢れ出した強大な神気に、自らを袖で庇いながら後ずさる。
少女から爆発的に膨れ上がった神気は凄まじく、耳が痛くなるほどの音ならぬ音を発しながら洞内を共振させて、岩や水や樹の形を歪ませた。
岩壁には玻璃を割ったように細かな亀裂が走り、水は陸に打ち揚げられた魚のように上下にのたうつ。そして花々は少女が立っているその一点から螺旋を描くように腐り、でなければ枯れ落ちていった。
迫り来る死んだ花々に、日嗣は反射的に地を蹴り宙に浮かぶ。先程まで自分が立っていた場所も、そこにあった草花は皆干からびていった。
それはこの原初の神々の血を引き、今なお天に君臨する天照の直系たる自分でさえ本能的に怖じてしまう──死の神の暴威だった。
少女はうつむき、もう日嗣に顔を見せることはない。ただこの激しい地動の中にあっても微動だにせず、その髪だけが取り乱した老婆のもののようにばらばらとうねっていた。
「……ッ!?」
日嗣は一瞬、何が起きたか分からなかった。
ただ唐突に足元から伝わってきた地の揺れと、眼前の少女から溢れ出した強大な神気に、自らを袖で庇いながら後ずさる。
少女から爆発的に膨れ上がった神気は凄まじく、耳が痛くなるほどの音ならぬ音を発しながら洞内を共振させて、岩や水や樹の形を歪ませた。
岩壁には玻璃を割ったように細かな亀裂が走り、水は陸に打ち揚げられた魚のように上下にのたうつ。そして花々は少女が立っているその一点から螺旋を描くように腐り、でなければ枯れ落ちていった。
迫り来る死んだ花々に、日嗣は反射的に地を蹴り宙に浮かぶ。先程まで自分が立っていた場所も、そこにあった草花は皆干からびていった。
それはこの原初の神々の血を引き、今なお天に君臨する天照の直系たる自分でさえ本能的に怖じてしまう──死の神の暴威だった。
少女はうつむき、もう日嗣に顔を見せることはない。ただこの激しい地動の中にあっても微動だにせず、その髪だけが取り乱した老婆のもののようにばらばらとうねっていた。

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