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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
 神依がどのように、どれほど彼女と触れ合っていたかは今となっては分からないが、……神依が見せてくれた優しさの方が、自分がわずかに視た女神に近かった気がする。神依も決してそれを、疑わなかったはずだ。
(……神依)
 一方、やや落ち着いた少女はそっと日嗣を窺い、けれどもその眼差しが自分のずっとずっと向こう──何か違うものを見つめていること、自分のことなど全く見ていないことに気付いて、顔を歪めた。
 それは怒りと悔しさと悲しみと、いろいろなものを混ぜ合わせた複雑な皺を形作り──神依では到底真似できなさそうな、いびつな曲線を眉や瞳、鼻や唇に描いていた。
 「そう……あなたも私を拒むのね」
そしてその声までもが、徐々にしゃがれて神依のものではなくなっていく。
「それは……仕方のないことです」
「あなたはいつも勝手よ。見なくてもいい時には全てを暴いて、私を辱しめて。見てほしい時には見てくれない。もういいわ──」
「……?」
「最初から決めてたの。あなたが私のものにならないなら……誰のものにもさせない」

***

 その直後、突如として少女の周りに風が巻き起こって、まだ下半身を覆っていた巫女装束の裳裾が音を立てて荒び始めた。
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