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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
今にも泣き出しそうな割れた声は、自らが発した言葉に少女の我慢が利かなくなったからだろうか。だが生憎、今は思いやりを託す羽織も無い。
 「私が貴女を拒むのは、そういうことではないのです。その器も──目に見えるものだけに心を惑わされてはならないと……長い年月を掛けて、今しがたまで、私は多くの者からそう教わりました」
「……日嗣様」
少女は眉を寄せ、浮かんだ涙を何とかこぼすまいと一生懸命に目を開いて瞬きを抑え込む。そして頑なに神依であろうとして、日嗣の心にすがり付く。
「どうしてそんなことを言うんですか……私はあなたのために、変わったのに。あなたのためにこの姿になったのに。もう──あなたより先に、黄泉路を歩むようなこともしません。人ももう、私たち神など要らないのだから、新しい子を作る必要もない。だから私達二人と、私達に優しい人達とだけで、新しい国を造りましょう。この姿なら、あなたももう一度……私とやり直してくれるでしょう? 私を……愛してくれるでしょう?」
「いいえ──私は貴女を愛せない。貴女は私の愛した女性ではなく、私もまた、あなたの愛した男ではないはずだからだ。──黄泉国の女神──我が血脈の遥か遠き、あらゆる命を生み身罷られた、偉大なる母神よ」
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