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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
自ら肌を晒した少女も羞恥心を拭うことはできないようで、自分を庇うようにくしゃくしゃの巫女服を腹の上で抱きしめていて、そういう仕草だけは本当によく想い人に似ている気がしたが……それだけだ。
少女はそのまま衣を落とさないよう、そっと自身の右肩に指を這わせて日嗣の視線を誘う。
その指先が触れるのは、この空気の中でも褪せず、混じらぬ鮮やかな朱の紋。
「見て……見て下さい、日嗣様。……あなたが私に刻んだ朱印です。私はもうあの日から、日嗣様のものだったのに」
「……だが神依に刻まれていたのは、それだけではなかったはずだ。男として幼く、至らなかった私のせいで、その分を神依に科してしまった」
「だから──それは、もう無いんです。私がそう望んだから……、あなたにずっと愛してもらえるように、そう望んだから。
黄泉国は、人の心の世界でもあるんです。ここで滞っても、やがては何かに、何にでも変われる。……だから素戔鳴様という、その黄泉国の一端に触れた天照様は常若の生を得て、暗闇に閉じ籠った花の女神様は名の如く、気高く美しい身と魂を得たのではないのですか──だから私も、変われたのです。だって」
「……」
「……だって、他の男の人に抱かれた私なんて、日嗣様は嫌でしょう……?」
少女はそのまま衣を落とさないよう、そっと自身の右肩に指を這わせて日嗣の視線を誘う。
その指先が触れるのは、この空気の中でも褪せず、混じらぬ鮮やかな朱の紋。
「見て……見て下さい、日嗣様。……あなたが私に刻んだ朱印です。私はもうあの日から、日嗣様のものだったのに」
「……だが神依に刻まれていたのは、それだけではなかったはずだ。男として幼く、至らなかった私のせいで、その分を神依に科してしまった」
「だから──それは、もう無いんです。私がそう望んだから……、あなたにずっと愛してもらえるように、そう望んだから。
黄泉国は、人の心の世界でもあるんです。ここで滞っても、やがては何かに、何にでも変われる。……だから素戔鳴様という、その黄泉国の一端に触れた天照様は常若の生を得て、暗闇に閉じ籠った花の女神様は名の如く、気高く美しい身と魂を得たのではないのですか──だから私も、変われたのです。だって」
「……」
「……だって、他の男の人に抱かれた私なんて、日嗣様は嫌でしょう……?」

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