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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
「……ならば私を、本当の神依の元まで誘っては下さいませんか。貴女にならば、それもできましょう」
「……日嗣様」
わずかに空いた二人の間に、少女は再び日嗣に手を伸ばすが、日嗣はやはりそれを柔く拒絶する。
「日嗣様……どうしたの? よく見て下さい──私は神依でしょう?」
「違う。貴女は、神依ではない」
「……何を、言って」
 先ほど愛らしく頬を染めていた少女は、今は冷水を浴びせられたように蒼白になっていて、橙の光の中でもそれが判るほど色を無くしていた。
 「……どうして、日嗣様。私は、あなたに好きでいてもらえるように、この姿になったのに」
「……はい。私は神依を愛しています。けれども……貴女は違う。そうではないのです──」
「違わない──」
少女は苦しそうにうつむいてぎゅっと巫女服を握りしめていたが、ふと顔を上げ日嗣を見遣ると、意を決したように自らの帯に手を掛け衣を解き始めた。
 「……」
それをただ眺めていた日嗣の前に、いつか見たなめらかな白い肌が晒される。肌に流れる黒髪は水を含んだように艶やかで、少女らしいふくらみも、その上で慎ましく色付く蕾も扇情的ではあったけれども、日嗣の芯を焦がす熱にはなり得なかった。
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