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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
友ならば、それはもっと違うものに見えたのかもしれない。けれどもその境は、地や水の底から掘り起こされる輝石のように美しい色の川として、日嗣の目に映っていた。
淡い夜の色と、日嗣自身が宿す豊穣の金、そして命湛える若葉の緑と──もしも好事家がいたならば、丸ごと抉りたくなるくらい、その色は日嗣の瞳の中で鮮やかに折り重ねられていた。闇に慣れ過ぎた瞳が得た、見事な宝玉のさま。
そして再び日嗣が顔を上げた瞬間──一枚網膜を剥がしたようにざわりと薄い闇の紗が仰け反り、まるで本当にそうされたかのように、唐突に景色が変わった。
「……ッ……!!」
膜の向こうは──季節を忘れた花々が繚乱する、地の底にしては美し過ぎる程の黄昏。
日嗣はその橙色の世界で、淡島の巫女服を纏った少女が一人佇んでいるのを──ようやく見つけた。
***
そこは白砂の浜とよく似た洞だった。
けれどあちらが白を基調にしているのに対し、こちらは黒──岩肌は金を吹き付けたかのように輝く黒燿の石を混ぜ、黄昏にその色を濃く浮かび上がらせていた。
その岩肌の隙間からは滔々と豊かな水が湧き出ており、その恵みを受けてか樹も花も自らの隆盛をこれでもかと誇り、咲き狂っていた。
淡い夜の色と、日嗣自身が宿す豊穣の金、そして命湛える若葉の緑と──もしも好事家がいたならば、丸ごと抉りたくなるくらい、その色は日嗣の瞳の中で鮮やかに折り重ねられていた。闇に慣れ過ぎた瞳が得た、見事な宝玉のさま。
そして再び日嗣が顔を上げた瞬間──一枚網膜を剥がしたようにざわりと薄い闇の紗が仰け反り、まるで本当にそうされたかのように、唐突に景色が変わった。
「……ッ……!!」
膜の向こうは──季節を忘れた花々が繚乱する、地の底にしては美し過ぎる程の黄昏。
日嗣はその橙色の世界で、淡島の巫女服を纏った少女が一人佇んでいるのを──ようやく見つけた。
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そこは白砂の浜とよく似た洞だった。
けれどあちらが白を基調にしているのに対し、こちらは黒──岩肌は金を吹き付けたかのように輝く黒燿の石を混ぜ、黄昏にその色を濃く浮かび上がらせていた。
その岩肌の隙間からは滔々と豊かな水が湧き出ており、その恵みを受けてか樹も花も自らの隆盛をこれでもかと誇り、咲き狂っていた。

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