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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
変わらないのだ。だから代わりに、ただひたすらその先にある場所を思い描いて進めば、徐々に陽炎の景色が変化を見せ始める。
それはまるで人の心を見透かして、そのまま眼前に映すような。だがそれは、今更な気もした。でなければ──あの水蛭子の少女は、“神依”にはならなかった。
やがて足先ははっきりと、今までとは異なる質感の地へと降り立った。
鏡の欠片を取り足元を照らしてみれば、そこは子供が爪先で蹴って遊んでいたような小さな窪みと乱れた砂利がある以外、砂が固く敷かれた人工的な足場となっていた。
他にはどこからか飛来して、長い時を経て成長した植物がいくつか縁に繁り、死の国には不似合いな愛らしい花を咲かせてはいたが……
「……」
その先には、何もない。
巨大な海の洞窟、白砂の浜に通じるはずのその穴の向こうには、殊更に先の見えぬ黒い闇が広がるだけで、まるで大量の糊や樹脂を混ぜたかのような粘着質の波を縦にも横にもうねらせていた。
……だというのに、無音。
その静謐を垂直に沈めた海底からは、今にも何かが襲いかかってきそうな雰囲気が漂っているのに、日嗣の前では微塵もそんな素振りを見せない。
それはまるで人の心を見透かして、そのまま眼前に映すような。だがそれは、今更な気もした。でなければ──あの水蛭子の少女は、“神依”にはならなかった。
やがて足先ははっきりと、今までとは異なる質感の地へと降り立った。
鏡の欠片を取り足元を照らしてみれば、そこは子供が爪先で蹴って遊んでいたような小さな窪みと乱れた砂利がある以外、砂が固く敷かれた人工的な足場となっていた。
他にはどこからか飛来して、長い時を経て成長した植物がいくつか縁に繁り、死の国には不似合いな愛らしい花を咲かせてはいたが……
「……」
その先には、何もない。
巨大な海の洞窟、白砂の浜に通じるはずのその穴の向こうには、殊更に先の見えぬ黒い闇が広がるだけで、まるで大量の糊や樹脂を混ぜたかのような粘着質の波を縦にも横にもうねらせていた。
……だというのに、無音。
その静謐を垂直に沈めた海底からは、今にも何かが襲いかかってきそうな雰囲気が漂っているのに、日嗣の前では微塵もそんな素振りを見せない。

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