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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
【5】
進貢の広場の端──水に映る景色のように、限りなく薄められた淡島の像が浮かぶ闇の中、その色を混ぜた毒々しい彩りの花々を横目に、媚びる女が纏うようなむせ返る程に甘い臭いを振り切り先へと進めば、人為的に均され固められた小口へと出る。
日嗣が向かっていたのは淡島と八衢の一部を区切る、或いは繋げる神門だった。門の先には延々と、幾つあるのかも分からない純白の鳥居が下へ下へと並んでいる。
根底の国の、更に深部へと続く道。何故ここだけ白いのか、それが逆に薄気味悪い……月夜に浮かぶ、屍の女の肌の色に見えた。
ここが淡島であったなら、本来は神聖なもののはずだったのに──木立や花群に秘されたこの道も、本来は淡島の女あるじとそれが許した者だけが往ける特別な道だった。
だからか、淡島の巫覡達も常にはその存在を忘れてしまっているかのようにここには近付こうとしない。否、或いはもしかしたら、彼女達は本当に忘れてしまっているのかもしれなかった。
何故ならここは、洞主らの他にはまだ名すら持たない……水蛭子だけが、一方通行で歩む道でもあるのだから。
「……」
日嗣は一歩を、逆に降る。一番最初に、神依が通ったはずの道。
進貢の広場の端──水に映る景色のように、限りなく薄められた淡島の像が浮かぶ闇の中、その色を混ぜた毒々しい彩りの花々を横目に、媚びる女が纏うようなむせ返る程に甘い臭いを振り切り先へと進めば、人為的に均され固められた小口へと出る。
日嗣が向かっていたのは淡島と八衢の一部を区切る、或いは繋げる神門だった。門の先には延々と、幾つあるのかも分からない純白の鳥居が下へ下へと並んでいる。
根底の国の、更に深部へと続く道。何故ここだけ白いのか、それが逆に薄気味悪い……月夜に浮かぶ、屍の女の肌の色に見えた。
ここが淡島であったなら、本来は神聖なもののはずだったのに──木立や花群に秘されたこの道も、本来は淡島の女あるじとそれが許した者だけが往ける特別な道だった。
だからか、淡島の巫覡達も常にはその存在を忘れてしまっているかのようにここには近付こうとしない。否、或いはもしかしたら、彼女達は本当に忘れてしまっているのかもしれなかった。
何故ならここは、洞主らの他にはまだ名すら持たない……水蛭子だけが、一方通行で歩む道でもあるのだから。
「……」
日嗣は一歩を、逆に降る。一番最初に、神依が通ったはずの道。

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