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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
 蜘蛛神のように、皆が良い方に廻ればきっとそれ以上に幸せなことはない。その時こそ、ここに残された何もかもが失せるだろう。
 ただそれを強制することもできず、すぐには変われない者、変化を望まない者もいるかもしれない。
 だが……それでもあの日、この上なく浄化された星月夜の下、神依はそれでいいと言っていた気がする。
 神依が紡いでくれた言葉は、権力で支配して強制するような暴力的なものでもなければ、己の意に沿わない者を拒絶するような無関心なものではなくて──もっと──温かみのあるものだった。だからこそ、二人で歩むことを望んだ。一人で歩むには難い、厳しく辛い道ながらも。
 (……俺も、行こう)
日嗣は再び約束を果たそうと、荷を取りに一度台座に戻り、神楽鈴の入った袋だけを取り上げその場を後にする。
 眠る間際に解いていた髪だけ簡単に結い直し、その荷と三種の宝だけを携えて。
 ここに導かれたのなら、日嗣が向かう先はもう一つしかあり得なかった。次が最後だと、心のどこかで理解もしていた。
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