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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
 罪を自覚した時、善人であればあるほど自分を許すことができなくなる。自傷の傷は深く、誰かに労ってもらわなければ治らない。赦してもらわなければ解放されない。人らしい、汚ならしい想いまでも理解して分かち合い、受け入れてくれる誰かに。
 だから日嗣はかつて自分が神依にして貰ったように、柔らかな絹の言葉を編んで小さな女神の心を包む。
「それでもお前が思い煩うのならば……その罪滅ぼしには、どうかこれからも神依の側に在って、その信仰を護ってやってほしい。巫女の先達として……一柱の神として」
『……ああ……』
想い人の形をした頬に、涙が流れる。
『……私もまだ……神でいられる』
「……」
それは、黄泉国で得た久方ぶりの他人のぬくもり。日嗣がほのかに笑めば、それに気付いた蜘蛛神も、確かに自分にも存在意義があったのだとようやく芽生えた自愛に柔らかく表情をほころばせた。そして今更気付いたように襤褸衣(ぼろぎぬ)を寄せ集めると、姿勢を正す。
 『……この子はもう、天の加護の及ばぬところにまで出てきています。……けれどあなた様も、行く先はもうご存知なのですね』
「……ああ。ここまで来れば迷わない」
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