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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
『……まだこちらに流れ着いたばかりの子が、私と同じ道を行くのは余りに忍びなくて──いいえ、でもそればかりではなくて』
「……どういうことだ」
『……浅ましいこと……、私はあの時たしかに、私を捨てた神にこの美しい姿を見せつけてやりたいと思ってしまったのです。並ぶもの無き、天孫たるあなた様の前に在る私を見せつけてやりたかった。気付いてもらえるはずもないのに──いいえ、違う。違うのです、それは本当に一瞬。だってこの子は、こんな私を神として見出だしてくれたから……助けたい、私なら助けられると確かに思ってもいたのです。
この子は微塵も私を疑わず慕ってくれたし、この子の前でだけは神の端くれとして在れた。ただひたむきに、純な信頼を寄せられる……神としての喜びも初めて知れたのです。……だから私も皆でお菓子を食べたり糸を紡いだりした時間は本当に楽しくて、でも同じくらい罪深い気もして……ああ、分からない』
「……」
『そうしてずっとずっと分からないまま──私の心は罪悪感というるつぼに嵌まり、その昏い想いはやがて現の目には見えぬ、心の奥底へと追いやられていきました。そうして現の私に忘れられた私は、気付いた時には再びこの場所に立ち、舞を強いられていたのです。
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