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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
***
(これは……何だ……)
立ち尽くす日嗣の前で次々と、闇に秘された世界があらわになっていく。
整然とした石畳。その間を流れる小川。その広場を囲うように茂る木々や草花。大きな池。お天気雨──。
ただそのどれもが昼と夜を混ぜたような黄昏の色で染められていたが、それらが顕される間にもしゃん、しゃんと鈴は鳴り続き、ぽっかりと取り残された暗闇のなか一人、黒い人影がずっとずっと舞っていた。何かに取り憑かれたように、くるくると。
それはまるで、何もかも。
御霊祭の終盤、斎水別神が生まれる間際のように──。
「ッ……」
その余りに見覚えのある風景、そしてそれを見下ろす自分に、日嗣は意図的にこの場所に誘(いざな)われたことを覚って思わず後退る。でなければ、こんなにも思い入れのある場所で目覚める訳がない。待っていたように、鈴を振るえる訳がない。
(だが──)
……誘われたとしたら……誰に。
……目の前で舞い狂っている、誰かに?
(そんなはず──)
──だって、あの鈴の音は違うのだから。けれどもあの時、そこに立てた人物は間違いなく一人だけだった。他でもない、日嗣自身が選び、押し通した。
(これは……何だ……)
立ち尽くす日嗣の前で次々と、闇に秘された世界があらわになっていく。
整然とした石畳。その間を流れる小川。その広場を囲うように茂る木々や草花。大きな池。お天気雨──。
ただそのどれもが昼と夜を混ぜたような黄昏の色で染められていたが、それらが顕される間にもしゃん、しゃんと鈴は鳴り続き、ぽっかりと取り残された暗闇のなか一人、黒い人影がずっとずっと舞っていた。何かに取り憑かれたように、くるくると。
それはまるで、何もかも。
御霊祭の終盤、斎水別神が生まれる間際のように──。
「ッ……」
その余りに見覚えのある風景、そしてそれを見下ろす自分に、日嗣は意図的にこの場所に誘(いざな)われたことを覚って思わず後退る。でなければ、こんなにも思い入れのある場所で目覚める訳がない。待っていたように、鈴を振るえる訳がない。
(だが──)
……誘われたとしたら……誰に。
……目の前で舞い狂っている、誰かに?
(そんなはず──)
──だって、あの鈴の音は違うのだから。けれどもあの時、そこに立てた人物は間違いなく一人だけだった。他でもない、日嗣自身が選び、押し通した。

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