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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
(この神威は……)
 どうか、お帰り──と。
 それはなお身を尽くし左手の紐飾りまでやってきて、また更に日嗣の後方へとぽつりぽつりと灯っていく。結ばれている。日嗣は確かに、その世界を違えた三本の紐飾りの繋がりを感じることができた。
 だからこそ分かる──。
(──近くまで来ている)
 もうすぐ会える。
 今はまだ手を伸ばしても届かない距離だが、そんな思いが満ち溢れて、白の炎の何倍もの希望の灯が胸の中に燃え上がった。
 『神依──』
今呼んだら、何か返ってこないだろうか。
 たとえ通じなくとも、それでも日嗣は白い光の向こうを見つめ続ける。
 水に抱かれる柔い抵抗と浮力に魂を任せ──それは日嗣の中に溢れた希望と安心感を一層後押しし、やがて疲労から、肉体の方はいつの間にか先程より深い眠りに落ちていってしまった。そしてそれにつられるように、意識も睡魔に捕らえられていく。
 神たる身がいかに餓えや渇き、傷や病に強くとも……実際日嗣の心身は疲弊していて、それを癒す時間も忘れる時間も必要だった。
 『…………日嗣様?』
だから落ちる間際に届いたその声に、日嗣はああと笑みの混じった息を吐き、満たされた心地で意識を手離す。
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