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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
 そして寝転がったまま手探りでそれを取り出し包みを広げると、あのとき神依がしたように空に掲げてみせた。
 鏡の灯に、更に深みを増して闇に浮かぶ黄金色。それはこの黄泉の者では到底近寄り難いような荘厳な趣を醸し出して、日嗣の黄金の瞳をなお熟れさせる。
 ……その闇に浮かぶ深い金色は、淡島の人々から託された神楽鈴だった。
 日嗣は舞巫女の所作を思い浮かべながら、柄の先から垂れる五色布を左手ですくってみる。神依と神依の家族、そして淡島の巫女達が想いをこめて紡ぎ、織ってくれた布。
 「……」
それは以前の物と比べれば見るからに粗布ではあったが、糸と共に紡がれ、織られた祈りが萎れかけていた覇気を蘇らせてくれる。
 連れて帰ると童と約束した。でなければ禊にも申し訳が立たない。二人で帰ることができたなら、今度はもう少しあの巫女達を労ってやることができる。神依を取り立てることで、自分が汚してしまった彼女達の誇りをもう一度讃えることができる。
 (……色々なことがあった)
それを想い返しながら、そのまま気慰みにと日嗣は一度鈴を振るってみる。
 だが、
「……!」
しかし、鈴は雨露の一粒が葉から落ちる程の音も、奏でてはくれなかった。
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