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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
(雨が上がったら、また行く先を決めよう。それが思える内は……まだ大丈夫だ)
まだどれだけ掛かるか分からない、先の見えぬ道程。ただ神依に刻んだ自身の神威のかそけき気配を辿り、多分こちらだろうと勘で進んでいく。そんな中で、拐った張本人とはいえ素戔鳴によって神依の安全が保証されているのは、何よりの幸いかもしれなかった。
日嗣は更に農具やそりを退かし木箱を並べ、また土に置けない道具や袋を積んであった棚からそれを下ろして空にすると、間に合わせの寝台を作る。屋根と壁に護られて横になれる時間は、黄泉国に降りて以来初めてのことだった。
それでも三種(みくさ)の宝やまじないの掛かった布や装飾だけは肌身離さず身につけて、背嚢を枕に代え外套にくるまる。
お世辞にも寝心地がいいとは言えないし、眠りを深くするつもりも無かったが……体は少し楽になった気がしたし、雨音は心にも優しい気がした。
(いや……そう感じるのは、やはり神依が水の気を帯びているからか)
だからか、軒や地を叩いて弾ける雨の音は、停滞し始めていた日嗣の魂にも慈雨(じう)となって染みていく。
その感覚が神楽殿で得たものと似ている気がして、日嗣はもう一つの荷を手繰り寄せる。
まだどれだけ掛かるか分からない、先の見えぬ道程。ただ神依に刻んだ自身の神威のかそけき気配を辿り、多分こちらだろうと勘で進んでいく。そんな中で、拐った張本人とはいえ素戔鳴によって神依の安全が保証されているのは、何よりの幸いかもしれなかった。
日嗣は更に農具やそりを退かし木箱を並べ、また土に置けない道具や袋を積んであった棚からそれを下ろして空にすると、間に合わせの寝台を作る。屋根と壁に護られて横になれる時間は、黄泉国に降りて以来初めてのことだった。
それでも三種(みくさ)の宝やまじないの掛かった布や装飾だけは肌身離さず身につけて、背嚢を枕に代え外套にくるまる。
お世辞にも寝心地がいいとは言えないし、眠りを深くするつもりも無かったが……体は少し楽になった気がしたし、雨音は心にも優しい気がした。
(いや……そう感じるのは、やはり神依が水の気を帯びているからか)
だからか、軒や地を叩いて弾ける雨の音は、停滞し始めていた日嗣の魂にも慈雨(じう)となって染みていく。
その感覚が神楽殿で得たものと似ている気がして、日嗣はもう一つの荷を手繰り寄せる。

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