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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
 実際日嗣には、黄泉国に降りてどのくらい経ったのかその判別もつかなかった。
 起きてさまよっている間中、ひっきりなしに狂った世界や荒ぶる禍津霊、嘆く亡者を目の当たりにして、体感ではもっともっと長い時をここで過ごしている気がする。
 七日と思うのは、ただこうして意図的な眠りと食事を七回摂ったというだけだった。
 「……一人は、やはり辛いな」
だから、久しぶりに出した自分の声にすら違和感を覚えてしまう。
 こんな声だったか、判じてくれる者も返事も無い。精神的にも肉体的にも、実はそれが一番苦しいことかもしれなかった。ただひとり目の前の光景に右往左往するばかりで、ともすれば何のためにこの世界に来たのか、忘れそうになるときがある。
 その度に手首に巻いた水晶の飾りに触れて、神依が綴ってくれた文の中でも一番気に入ったものを持ってくれば良かったと女々しい後悔をする自分に自嘲して──。
 (……ああ、あと書き損じを燃やしてくれば良かった)
それでも本当に、心の底から惚れてしまっているのだと少し安心する。
 あれは、子猫の前で紐を揺らしてやるように楽しい時間だった。
 (……神依)
そんな風に思い出せば思い出すほど、寂しさと会いたい気持ちが募る。
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