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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
その後も日嗣は何度も何度も、穢れに犯されたあらゆる事物が理性を失い世界を乱す光景を目にし、時には深く踏み込み過ぎて、ついに剣を振るったこともあった。
特に馴染みのある高天原や淡島が狂う風景は、墨を垂らしたようにじわりと、日嗣の心にも影を落としていく。
それは最初のように、進んだ先に開けていた場所もあったし、仮眠や睡眠を取った後に唐突に世界が変わっていたこともあったが、総じて自分が知らなかった、見ようとしなかった暗部を見せ付けてくる。
社会の底にも権力の底にも、祖母でも照らせぬものはあったし、大叔父でも見透せぬものがあったのだ。
その跡を継ぐ自分には、そういうものも全てのし掛かってくる──考えただけで胃が痛む思いもしたが、知ると知らぬとでは心構えも違うし、却って良かったのかもしれないと無理矢理にその痛む腹に収めた。以前は煙たかった祖母も、あの小さな身で政を支え、流れを滞らせぬよう神々を、人々を上手く回していたと思えば、多少煩わしいくらいのことは我慢できる気もした。
彼女が唯一並び立てる神、月読にこだわったのも、本当はそういう部分があったからかもしれなかった。
特に馴染みのある高天原や淡島が狂う風景は、墨を垂らしたようにじわりと、日嗣の心にも影を落としていく。
それは最初のように、進んだ先に開けていた場所もあったし、仮眠や睡眠を取った後に唐突に世界が変わっていたこともあったが、総じて自分が知らなかった、見ようとしなかった暗部を見せ付けてくる。
社会の底にも権力の底にも、祖母でも照らせぬものはあったし、大叔父でも見透せぬものがあったのだ。
その跡を継ぐ自分には、そういうものも全てのし掛かってくる──考えただけで胃が痛む思いもしたが、知ると知らぬとでは心構えも違うし、却って良かったのかもしれないと無理矢理にその痛む腹に収めた。以前は煙たかった祖母も、あの小さな身で政を支え、流れを滞らせぬよう神々を、人々を上手く回していたと思えば、多少煩わしいくらいのことは我慢できる気もした。
彼女が唯一並び立てる神、月読にこだわったのも、本当はそういう部分があったからかもしれなかった。

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