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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
かつて自分達がされたように、ただそこに在っただけの世界をごりごりと、端から削り取っている。
 (しかしそれをすれば、今度は人もそれを怨むだろうに……これで本当に、お前達の怨みは晴れるのか──)
日嗣は心奥でそれを禍津霊達に問い、また神として慈悲を与えるべき人の骸(むくろ)達にも何をしてやれることもなく、地を蹴って空に身を翻すとその場を離れる。
 すぐに絶望の声が聞こえたが、やはり後ろを振り向くことはしなかった。
 死者の国。あらゆる世界の穢れが向かう場所。それら全てが混ざり合った混沌の世界。誰か各々が語ったそれは、やはり各々が黄泉国の一側面であり、こういう光景があっても不思議ではないのだろうが──割り切れない。
 あの獣の山は、国津神達が高天原に居を求めた今となっては、数百年、数千年後の自分達の姿かもしれなかった。
 ──そして自分には、何もできない。
 見たくもないものを見る、祖母が発した言葉のその意味は、自分が考えていたものよりも遥かに重苦しいものだと、日嗣は早々に思い知らされたのだった。

***

 しかしそれは、豊葦原の話ばかりではない。
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