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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
ただ背後からこちらを窺う、忍び寄るような気配に余分に薄気味悪い思いをしただけ。
 それに加え、外に向かえば向かうほど穢れの濃度が高くなっていく気がする。ここは外界に近いからだろうか、まだましだったが、やはり神たる身には居心地の良くない世界だった。
 例えば、そこから斎水分神が産まれたように──自らが語ったように。
 それが恐れるものでないことはよく理解しているが、天照が語ったこともまた真実であることを思い知らされる。表裏一体の理。
 しかし進まない訳にはいかない。その前へ進む意思も恐れを浄める勇気も、今、自分の何もかもを形作っているのが神依であることに何故か笑みがこぼれた。
 (……必ず、迎えに行く。そして今度こそ──)
その決意は地を踏む力を強くさせて、影達を振り払う。
 そうして境であるあなぐらを抜ければ、
「……ッ!?」
目の前に広がったのは、日嗣の見知らぬ人工の景色──眠らない豊葦原の夜の、極彩色の光の小花と高層建築物の墓場だった。

***

 「──これは……」
その風景を見た日嗣は、息を呑んで足場の淵まで進む。
 抜けてきた洞窟は切り立った山の中腹辺りにあり、その足元に広がる異様な光景を一望することができた。
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