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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第20章 待ち人
「いや、怖くて当然なんだ、命ある者がこういう場所を歩くにはな。ただ……神依を引き揚げた白砂の浜もそうだが、俺は、こういう岩屋は女の陰(ほと)と同じだと思ってる。やっぱり入るのも出るのも、どっちも多少は怖いことなんだよな。意識しなくても」
「……女陰、か」
そのあまりにこの場に相応しくないはずの言葉に、けれど日嗣は妙に合点がいって、何とも漫(そぞ)ろわしい心地に陥る。
だからあの浜に出入りできる淡島の女あるじには、“洞主”という呼び名が与えられていたのかもしれない。考えたこともなかったが。
「……だが、お祖父様が言っていたこともきっと、そういうことなのだろうな」
「ん?」
「男が女を求め暗い洞穴に潜り、試練を乗り越えた後に結ばれる──と。だから俺と神依も、またきっと二人で現に還ることができる。いや、多分二人でなければ成し得ないことで、だからこそ俺は一人で行くことを決めたんだ」
「ああ──それについては俺は結構頭に来てるんだぞ。せめて俺一人でも連れてきゃ、気休めくらいの道案内にはなったのに。少なくとも俺は、最後まで一緒に降る気だった。神依とも約束したしな──俺には大層な力は無ェけど、お前の友人として、できるだけのことはするって」
「……女陰、か」
そのあまりにこの場に相応しくないはずの言葉に、けれど日嗣は妙に合点がいって、何とも漫(そぞ)ろわしい心地に陥る。
だからあの浜に出入りできる淡島の女あるじには、“洞主”という呼び名が与えられていたのかもしれない。考えたこともなかったが。
「……だが、お祖父様が言っていたこともきっと、そういうことなのだろうな」
「ん?」
「男が女を求め暗い洞穴に潜り、試練を乗り越えた後に結ばれる──と。だから俺と神依も、またきっと二人で現に還ることができる。いや、多分二人でなければ成し得ないことで、だからこそ俺は一人で行くことを決めたんだ」
「ああ──それについては俺は結構頭に来てるんだぞ。せめて俺一人でも連れてきゃ、気休めくらいの道案内にはなったのに。少なくとも俺は、最後まで一緒に降る気だった。神依とも約束したしな──俺には大層な力は無ェけど、お前の友人として、できるだけのことはするって」

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