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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第19章 還るべき場所
「根底の国だから、仕方ないの。実際、豊葦原の地下にあるわけでもないのだけど──きっと棲み易いのでしょうね。
でもこれは、そういう毒虫を近付けさせない特別な比礼(ひれ)……羽衣なのよ。この人に嫁いで、この世界に来たときにこの人がくれたの。
だけどこの家も何度も建て替えて、年を経るごとに良い家になったから隙間も無くなって。あまり虫も出なくなったし──私の財産として、娘であるあなたに受け継いでもらえるなら嬉しいわ」
「……でも……でもそんな大事なもの、本当にいいんですか?」
語りながら、早々それを羽織らせてくれる櫛名田を横に、その送り主の方を見れば素戔鳴は何でもないように頷く。
「構わん、こやつが要らんと言うならうぬが持っていけ」
「本当はこの人がくれてやれって言ったの。内緒よ」
「……おい」
そしてそのやり取りに皆でひとしきり笑い合い、それに満足すると、神依は門扉を背に二人に振り返る。
素戔鳴と櫛名田もそれを受け、最後に一回ずつ抱擁を交わした。
「……行ってらっしゃい。そして二度と、ここに帰らないように。あなたが永久(とわ)に幸せであることを、祈っているわ」
「……もう、会えないのですか?」
「ああ──その心構えで行けということだ」
でもこれは、そういう毒虫を近付けさせない特別な比礼(ひれ)……羽衣なのよ。この人に嫁いで、この世界に来たときにこの人がくれたの。
だけどこの家も何度も建て替えて、年を経るごとに良い家になったから隙間も無くなって。あまり虫も出なくなったし──私の財産として、娘であるあなたに受け継いでもらえるなら嬉しいわ」
「……でも……でもそんな大事なもの、本当にいいんですか?」
語りながら、早々それを羽織らせてくれる櫛名田を横に、その送り主の方を見れば素戔鳴は何でもないように頷く。
「構わん、こやつが要らんと言うならうぬが持っていけ」
「本当はこの人がくれてやれって言ったの。内緒よ」
「……おい」
そしてそのやり取りに皆でひとしきり笑い合い、それに満足すると、神依は門扉を背に二人に振り返る。
素戔鳴と櫛名田もそれを受け、最後に一回ずつ抱擁を交わした。
「……行ってらっしゃい。そして二度と、ここに帰らないように。あなたが永久(とわ)に幸せであることを、祈っているわ」
「……もう、会えないのですか?」
「ああ──その心構えで行けということだ」

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