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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第19章 還るべき場所
だからどうせなら、皆が均してくれたこの道を信じて歩いていきたかった。このあえかな恋の成就も破綻も……まだ見えないそのどちらの未来も、自分の体と心で選んで最後まで受け止めて、或いは看取ってやりたかった。それはかつて、最も信頼する臣が目の前で見せてくれたように。
 それは確かに悲しいことだったが、恐れることではない。本当は、女神達もそうだったはずだ。
 暗い洞のような場所に隠って、天照はなお瑞々しく、再び常若の魂を得て。花の女神は三人の子と高潔な身と誇りを得て。そして原初の女神はやがて広大でどこまでも美しい、あの命溢れる世界そのものになった。
 それはどれも、再誕の物語。
 魂の輪廻にも生命の輪廻にも……この黄泉という世界とこの世界に住む者、満ちるものは、確かに必要なものなのだ。誰もが一度はここに還り、生まれ変わる。そしてまた、何か新しいものを紡ぎ出して、繋いでいくのだ。
 だからこそ、その死生の廻りを知る月の神は神依をここに導いて、神依はまた望月にも新月にも、その姿を変えていける。
「……話が済んだのなら、もう寝るぞ。明日は忙しくなる。うぬも、出立の日が寝坊から始まったのでは格好がつくまい」
「……えへへ。はーい」
「何だそのだらしない返事は」
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