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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第19章 還るべき場所
「ふふ、……ありがとう。紋は少し時期を外してしまっているけれど……きっと御令孫も、姫君みたいに着飾って座るあなたに迎えられるより、まるでご自身に抱かれているかのようにこの襷を携えて、袖や裾を翻すくらい元気なあなたに飛び付かれる方が嬉しいはずだわ」
「……はい!」
その言葉のまま神依が元気よく返事をすれば、櫛名田ももう彼女を引き留めようとは思わない。自分も自分が志した母のまま、その先へ送り出してあげようと心を決めた。いざというとき、女はみんな強いのだ。
「今のあなたなら、以前私がした話を分かってくれるわね。……暗闇に籠った女達が何を失い、そのあと何を手に入れたか……今度はあなたが、自分で見付け出してごらんなさい」
「……」
神依は櫛名田を見上げ、しっかりと頷く。
……きっとこれが、最後の別れ道だった。この大きな御殿の大きな壁や扉に隠れてただ時が来るのを待つか、自分から歩み始めるか。
きっとどちらを選んでも、辿り着く先は変わらないのかもしれない。だったら大人しく、ここに籠っていた方がいいのかもしれない。それは櫛名田が言うように、日嗣を取り巻く、数多の女神がそうしてきたように。
(だけど……だけど私は、女神様じゃない)
「……はい!」
その言葉のまま神依が元気よく返事をすれば、櫛名田ももう彼女を引き留めようとは思わない。自分も自分が志した母のまま、その先へ送り出してあげようと心を決めた。いざというとき、女はみんな強いのだ。
「今のあなたなら、以前私がした話を分かってくれるわね。……暗闇に籠った女達が何を失い、そのあと何を手に入れたか……今度はあなたが、自分で見付け出してごらんなさい」
「……」
神依は櫛名田を見上げ、しっかりと頷く。
……きっとこれが、最後の別れ道だった。この大きな御殿の大きな壁や扉に隠れてただ時が来るのを待つか、自分から歩み始めるか。
きっとどちらを選んでも、辿り着く先は変わらないのかもしれない。だったら大人しく、ここに籠っていた方がいいのかもしれない。それは櫛名田が言うように、日嗣を取り巻く、数多の女神がそうしてきたように。
(だけど……だけど私は、女神様じゃない)

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