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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第19章 還るべき場所
それを胸に抱き、思い返せば思い返すほど、もう一つの声が頭の中でわんわんと反響する。
その声はずっと、日嗣の影であり神依の影でもあった。ただ硬貨の裏表のように分かち難く、図柄が違うだけの影。くるくると回して宙に放り投げたら、たまたま違う面が出てしまった。仲間外れのように弾き出されてしまった、ただただ寂しいだけの影。
……それでも。
──私はお前など生んでいない!! お前は私を裏切った! お前は私の愛しい人を奪った! お前は私の子じゃない、私はお前の母なんかじゃない、洞主なんかじゃない──!! お前と同じ、同じなんだ!!
「……おかあさん」
それでも、それは神依が淡島で生まれて、一番最初にそう呼んだ人間だった。
(……ごめんなさい。あなたの大切だった人を、奪ってしまってごめんなさい。……許してくれなくてもいい。だけど、私は……もう一度、生まれたい。……またあなたから、生まれたいと思います)
【5】
「……」
もうずっと流しっぱなしだった涙を拭うと、神依は歪な座布団を引き出しにしまい、代わりに水晶の勾玉と紐飾りを身に付けた。
それはひんやりと冷たかったが、首と手首に在って、神依の魂の血潮を脈々と息づかせてくれる。
その声はずっと、日嗣の影であり神依の影でもあった。ただ硬貨の裏表のように分かち難く、図柄が違うだけの影。くるくると回して宙に放り投げたら、たまたま違う面が出てしまった。仲間外れのように弾き出されてしまった、ただただ寂しいだけの影。
……それでも。
──私はお前など生んでいない!! お前は私を裏切った! お前は私の愛しい人を奪った! お前は私の子じゃない、私はお前の母なんかじゃない、洞主なんかじゃない──!! お前と同じ、同じなんだ!!
「……おかあさん」
それでも、それは神依が淡島で生まれて、一番最初にそう呼んだ人間だった。
(……ごめんなさい。あなたの大切だった人を、奪ってしまってごめんなさい。……許してくれなくてもいい。だけど、私は……もう一度、生まれたい。……またあなたから、生まれたいと思います)
【5】
「……」
もうずっと流しっぱなしだった涙を拭うと、神依は歪な座布団を引き出しにしまい、代わりに水晶の勾玉と紐飾りを身に付けた。
それはひんやりと冷たかったが、首と手首に在って、神依の魂の血潮を脈々と息づかせてくれる。

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