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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第19章 還るべき場所
「──実はな神依、お主に是非とも頼みたいことがあるのじゃ」
「頼み事?」
そうしておもむろに切り出された鼠軼の話に、神依は不思議そうな顔をして応える。
こんなふうに、鼠軼から改まって話を持ち掛けられるのも珍しい──。心辺りも無く、それを目で問えば、鼠軼は承知のように頷いた。
「手を出してみい」
「こうですか?」
何か貰えるのだろうかと神依はにこっと笑い、水をすくうように両手でお椀を作る。それに応えるように鼠軼も顔をしわくちゃにして笑うと、ゆらりと尻尾を動かした。
そして、その流れのまま──神依の手にゆっくりと置かれたのは、いつも鼠軼が大事そうに抱えていた透明な珠。
「──鼠軼様、これは」
尾は巻かれたまま、けれどこれがどういうことか分からず、神依は慌ててその手を突き出す。けれど鼠軼はそっと神依の指先を押し返すと、柔らかく目を細めた。
「これは是非お主から、鼠英に渡してやって欲しい。儂を神に祭り上げた神と覡の、神威と祈りが入っておる。儂の力の源じゃ」
「いいえ──だったら、尚更……! 私より、鼠軼様が──」
しかし、神依はすぐに何かに気付いたようにはっとして息を呑み、ああと嘆息すると、駄々をこねる子供のように頭を横に振った。
「頼み事?」
そうしておもむろに切り出された鼠軼の話に、神依は不思議そうな顔をして応える。
こんなふうに、鼠軼から改まって話を持ち掛けられるのも珍しい──。心辺りも無く、それを目で問えば、鼠軼は承知のように頷いた。
「手を出してみい」
「こうですか?」
何か貰えるのだろうかと神依はにこっと笑い、水をすくうように両手でお椀を作る。それに応えるように鼠軼も顔をしわくちゃにして笑うと、ゆらりと尻尾を動かした。
そして、その流れのまま──神依の手にゆっくりと置かれたのは、いつも鼠軼が大事そうに抱えていた透明な珠。
「──鼠軼様、これは」
尾は巻かれたまま、けれどこれがどういうことか分からず、神依は慌ててその手を突き出す。けれど鼠軼はそっと神依の指先を押し返すと、柔らかく目を細めた。
「これは是非お主から、鼠英に渡してやって欲しい。儂を神に祭り上げた神と覡の、神威と祈りが入っておる。儂の力の源じゃ」
「いいえ──だったら、尚更……! 私より、鼠軼様が──」
しかし、神依はすぐに何かに気付いたようにはっとして息を呑み、ああと嘆息すると、駄々をこねる子供のように頭を横に振った。

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