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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第19章 還るべき場所
それは月読が刻んだヒビを癒し、塞いでいった。またそれに気付いた素戔鳴は、自らも少しばかり力を貸し……けれど、すまぬと鼠軼に詫びた。
小さな鼠神のそれは、体を焼かれたことより残酷な役回りでもあった。否、それを果たす前の今でさえも──素戔鳴と櫛名田が神依を想えば想うほど、神依の中ではかつての“家”の面影は薄らいで、その守り神であった鼠軼の心を蝕んでいく。
だからこその謝罪だったのだが、鼠軼は緩く首を横に振り、何度も何度も後のことを素戔鳴に頼むと満足そうに、ようやく真円を成した珠を抱いた。
今度こそ、本物の──生と死の別れが近いことを、鼠軼はもう理解して、受け入れていた。
鼠軼の小さな目にも、まるで蛍が舞うような外の世界が映る。暗闇にあって、行く先を照らしてくれるような──優しい灯り。
神にも人にも、それはなくてはならないものだ。
(……んむ)
今にして思えば、自分もやはり幸せだった。神として成り、奥にも子にも恵まれた。良い出会いが沢山あった。そして最後に出会った巫女は、良い、別れをくれるだろう。
(善きかな……)
小さな鼠神のそれは、体を焼かれたことより残酷な役回りでもあった。否、それを果たす前の今でさえも──素戔鳴と櫛名田が神依を想えば想うほど、神依の中ではかつての“家”の面影は薄らいで、その守り神であった鼠軼の心を蝕んでいく。
だからこその謝罪だったのだが、鼠軼は緩く首を横に振り、何度も何度も後のことを素戔鳴に頼むと満足そうに、ようやく真円を成した珠を抱いた。
今度こそ、本物の──生と死の別れが近いことを、鼠軼はもう理解して、受け入れていた。
鼠軼の小さな目にも、まるで蛍が舞うような外の世界が映る。暗闇にあって、行く先を照らしてくれるような──優しい灯り。
神にも人にも、それはなくてはならないものだ。
(……んむ)
今にして思えば、自分もやはり幸せだった。神として成り、奥にも子にも恵まれた。良い出会いが沢山あった。そして最後に出会った巫女は、良い、別れをくれるだろう。
(善きかな……)

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