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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第19章 還るべき場所
「ああ──もう」
神依が問えば、櫛名田は更に腕に力をこめて神依を抱き、素戔鳴もまた最初の時のように髪をぐしゃぐしゃにしてくれる。
それで神依は満面の笑みを浮かべると、自分も甘えるように櫛名田に抱きついた。
──淡島に流れ着いてから、神依がずっと意識していたこと。しかし神依にはその純粋な愛が与えられることも無く、中途半端な繋がりだけを残して離れてしまった。
それは確かにほどかれることのない絆ではあったけれど、父とも母とも想う人達が神依一人のために在ってくれることはなかった。それは望んでも叶わぬこと、仕方のないことではあったが──。
だが今ここに在る二人は、今ばかりは神依に取ってそういう存在で在ってくれる。どんな姿であろうとどんな心持ちであろうと、二人もまた自分を求めてくれる。
叱ってくれてもいい。それさえ今は嬉しい。
その無条件の安心感は、鬱々と塞ぎ込み、凍え、滞っていた神依の魂をもう一度温かなもので包んで解きほぐしてくれた。
「櫛名田様。私、今日からちゃんと朝に起きます。お手伝いもします。だからまた、いろんなことを教えて下さい」
「ええ、もちろん。──ねえ、あなた。これでようやく、三人一緒にご飯が食べられるわね」
神依が問えば、櫛名田は更に腕に力をこめて神依を抱き、素戔鳴もまた最初の時のように髪をぐしゃぐしゃにしてくれる。
それで神依は満面の笑みを浮かべると、自分も甘えるように櫛名田に抱きついた。
──淡島に流れ着いてから、神依がずっと意識していたこと。しかし神依にはその純粋な愛が与えられることも無く、中途半端な繋がりだけを残して離れてしまった。
それは確かにほどかれることのない絆ではあったけれど、父とも母とも想う人達が神依一人のために在ってくれることはなかった。それは望んでも叶わぬこと、仕方のないことではあったが──。
だが今ここに在る二人は、今ばかりは神依に取ってそういう存在で在ってくれる。どんな姿であろうとどんな心持ちであろうと、二人もまた自分を求めてくれる。
叱ってくれてもいい。それさえ今は嬉しい。
その無条件の安心感は、鬱々と塞ぎ込み、凍え、滞っていた神依の魂をもう一度温かなもので包んで解きほぐしてくれた。
「櫛名田様。私、今日からちゃんと朝に起きます。お手伝いもします。だからまた、いろんなことを教えて下さい」
「ええ、もちろん。──ねえ、あなた。これでようやく、三人一緒にご飯が食べられるわね」

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