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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第19章 還るべき場所
そうして言葉と共に、悪戯そうにきゅっと鼻を摘ままれた神依は、櫛を握りしめると一呼吸──素戔鳴の膝に勢いよく突っ伏して、涙を預けた。
それは以前、日嗣が神依に求めたように──涙も感情も、心の中に溢れ出した全てを全身でぶつけて、今はこの大きな体と手に甘えてみたかった。
素戔鳴はそれを咎めず、代わりにばつが悪そうにその背を撫でてやるのだが、そうすればするほど何故か娘は泣きじゃくる。拒絶されないことが分かれば尚更、神依はもっともっと甘えて、甘やかしてほしいと思った。
妻がそうだから、自分は逆に律する方で在ろうと思ったのに──結局素戔鳴もまた、もう好きにせいと泣かせるだけ泣かせれば、その声を聞き付けてやってきた櫛名田にはこっぴどく叱られ、一方神依はぐしゃぐしゃになった顔を拭われて、ようやく二人に笑ってみせた。
「──この悪童め、空寝の次は嘘泣きか」
「まあ、どこが嘘泣きなの──酷いわ、あなたっていつもそうなのよ」
「何がだ」
「言ってもいいの? 言うわよ? あなたはいつだって、周りがうんと気を揉んで時間をかけて何かを成そうとしても、あっという間にとんでもないやり方で横からかすめ取って、良いとこ取りしていくの──この子だって、私の方がずっと大事に診ていたのに。
それは以前、日嗣が神依に求めたように──涙も感情も、心の中に溢れ出した全てを全身でぶつけて、今はこの大きな体と手に甘えてみたかった。
素戔鳴はそれを咎めず、代わりにばつが悪そうにその背を撫でてやるのだが、そうすればするほど何故か娘は泣きじゃくる。拒絶されないことが分かれば尚更、神依はもっともっと甘えて、甘やかしてほしいと思った。
妻がそうだから、自分は逆に律する方で在ろうと思ったのに──結局素戔鳴もまた、もう好きにせいと泣かせるだけ泣かせれば、その声を聞き付けてやってきた櫛名田にはこっぴどく叱られ、一方神依はぐしゃぐしゃになった顔を拭われて、ようやく二人に笑ってみせた。
「──この悪童め、空寝の次は嘘泣きか」
「まあ、どこが嘘泣きなの──酷いわ、あなたっていつもそうなのよ」
「何がだ」
「言ってもいいの? 言うわよ? あなたはいつだって、周りがうんと気を揉んで時間をかけて何かを成そうとしても、あっという間にとんでもないやり方で横からかすめ取って、良いとこ取りしていくの──この子だって、私の方がずっと大事に診ていたのに。

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