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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第19章 還るべき場所
「……櫛名田様は、寝る間も惜しんで来て下さっていたんですね。……知らなかった。ごめんなさい……」
「少なくとも、余への扱いが蔑ろになるくらいには大事にされておったぞ──感謝も謝罪も要らぬが、それを知れたなら労りの言葉一つくらいはくれてやれい」
「……はい」
その預り子が余りに素直に頷くので、まだ生え揃わぬ髪をぐしゃぐしゃと撫でてやれば、それは思いのほか嬉しそうにはにかんだ。
(……髪、少し伸びてた)
何にも頓着しない、素戔鳴という神。それは嵐の後の晴れ間のように、澄みきった印象を神依にもたらした。
「──それで、うぬは何ができる」
「え?」
しかし唐突になされた問いに、神依はきょとんと小首を傾げる。
「余の世話をせよと申したであろう──神に仕えるが巫覡の役目。櫛名田は我が妻であり、かつては巫女でもあった。只飯を食らう気なら、働かずとも演ずる技を更に巧みにせねばな」
「ご……ごめんなさい……」
下手くそな空寝を軽く笑われて、それで改めて考えるも、神依の身の回りの世話は全て禊と童がしてくれていたし手を出させてはもらえなかった。着付けも台所仕事も、何一つできない。
「多分、何もできないです……」
「糸紡ぎと染めの技は覚えたのであろう。鼠神から聞いたぞ」
「少なくとも、余への扱いが蔑ろになるくらいには大事にされておったぞ──感謝も謝罪も要らぬが、それを知れたなら労りの言葉一つくらいはくれてやれい」
「……はい」
その預り子が余りに素直に頷くので、まだ生え揃わぬ髪をぐしゃぐしゃと撫でてやれば、それは思いのほか嬉しそうにはにかんだ。
(……髪、少し伸びてた)
何にも頓着しない、素戔鳴という神。それは嵐の後の晴れ間のように、澄みきった印象を神依にもたらした。
「──それで、うぬは何ができる」
「え?」
しかし唐突になされた問いに、神依はきょとんと小首を傾げる。
「余の世話をせよと申したであろう──神に仕えるが巫覡の役目。櫛名田は我が妻であり、かつては巫女でもあった。只飯を食らう気なら、働かずとも演ずる技を更に巧みにせねばな」
「ご……ごめんなさい……」
下手くそな空寝を軽く笑われて、それで改めて考えるも、神依の身の回りの世話は全て禊と童がしてくれていたし手を出させてはもらえなかった。着付けも台所仕事も、何一つできない。
「多分、何もできないです……」
「糸紡ぎと染めの技は覚えたのであろう。鼠神から聞いたぞ」

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