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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第19章 還るべき場所
もっと言えば童や、禊や、そういう誰がどうという訳でもなく、深く自分を知る人と関わるのがもう嫌で、このまま誰の目にも届かぬ暗闇の中で隠れていたかった。命があったとて、活きる力がない。
(……私、頑張ったよね? でも、結局、全部だめだった……)
生きている自分と死した鼠軼が並び立つことができるこの御殿はまさしく境界で──その生死が混ざり合う境で、神依もまた生きながら死んでいた。何かを求め、貫き、至ろうとする、生ける者の欲や気力はいつの間にか失せていた。
そして櫛名田に曖昧な笑みと言葉を返すたび、漠然と、もうあそこには戻れないのだと神依は思うようになっていた。横になっていることが多かったのは、結局、体より心を眠らせるためだ。眠っていれば、何をしなくとも許される。
その間かまってもらうこともできず、退屈して鬱憤を溜めていた子龍はぐるぐるとすごい勢いで部屋を走り回って、鼠軼や櫛名田に怒られると神依の布団に潜り込んではお説教を遣り過ごし、空寝する手に慰めの愛撫をねだっていた。
***
そんなふうにただ静かに、物言わぬ我儘と我慢を通す神依の在り方を、櫛名田や鼠軼はもちろん承知していた。
(……私、頑張ったよね? でも、結局、全部だめだった……)
生きている自分と死した鼠軼が並び立つことができるこの御殿はまさしく境界で──その生死が混ざり合う境で、神依もまた生きながら死んでいた。何かを求め、貫き、至ろうとする、生ける者の欲や気力はいつの間にか失せていた。
そして櫛名田に曖昧な笑みと言葉を返すたび、漠然と、もうあそこには戻れないのだと神依は思うようになっていた。横になっていることが多かったのは、結局、体より心を眠らせるためだ。眠っていれば、何をしなくとも許される。
その間かまってもらうこともできず、退屈して鬱憤を溜めていた子龍はぐるぐるとすごい勢いで部屋を走り回って、鼠軼や櫛名田に怒られると神依の布団に潜り込んではお説教を遣り過ごし、空寝する手に慰めの愛撫をねだっていた。
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そんなふうにただ静かに、物言わぬ我儘と我慢を通す神依の在り方を、櫛名田や鼠軼はもちろん承知していた。

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