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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第19章 還るべき場所
自分がめそめそしていては、この優しい神の心をも傷付けてしまう。
それでもどうしようもなく我慢できない時もあったが、鼠軼の眼差しは淡島にいた頃と何も変わらない。
見知らぬ場所で見知った神が在ってくれたことは、決して少なくはないぶん神依の心を慰め、鼠軼はこの地に在っても屋敷神としての神威を発揮してくれているような気がした。思えば神依が心安らかに過ごせた場所は、淡島の中でもあの小島の家だけだった。この小さな神が在っただけの間。
ならば今は、ここが一番自分に取って過ごし易い場所であるに違いない。
神依はまだ横になっていることの方が多かったが、食事も少しずつ形のあるものになり、体力だけは回復していった。
そしてそのぎこちなく動く体で最初にしたことは、虹入り水晶の勾玉と手首の紐飾りをほどき、見えないところへしまうことだった。
唯一、淡島から身に付けていた自分のもの。
それが目に入るのは今の神依には耐えられなかった。得体の知れない恐怖に心臓が波打ち、途方もない虚無感が沸き起こる。特に七色の揺らめきは、その作り手のまっすぐな眼差しのまま神依の暗い心を暴くようで、怖かった。逃げ出すことを、許して欲しかった。
それでもどうしようもなく我慢できない時もあったが、鼠軼の眼差しは淡島にいた頃と何も変わらない。
見知らぬ場所で見知った神が在ってくれたことは、決して少なくはないぶん神依の心を慰め、鼠軼はこの地に在っても屋敷神としての神威を発揮してくれているような気がした。思えば神依が心安らかに過ごせた場所は、淡島の中でもあの小島の家だけだった。この小さな神が在っただけの間。
ならば今は、ここが一番自分に取って過ごし易い場所であるに違いない。
神依はまだ横になっていることの方が多かったが、食事も少しずつ形のあるものになり、体力だけは回復していった。
そしてそのぎこちなく動く体で最初にしたことは、虹入り水晶の勾玉と手首の紐飾りをほどき、見えないところへしまうことだった。
唯一、淡島から身に付けていた自分のもの。
それが目に入るのは今の神依には耐えられなかった。得体の知れない恐怖に心臓が波打ち、途方もない虚無感が沸き起こる。特に七色の揺らめきは、その作り手のまっすぐな眼差しのまま神依の暗い心を暴くようで、怖かった。逃げ出すことを、許して欲しかった。

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